四十肩・五十肩

ある日、肩に急に強い痛みが現れたら、真っ先に疑われるのが四十肩・五十肩でしょう。

特に中高年の方は、肩関節の組織の変性が起こりやすいため、四十肩・五十肩である可能性が高いといえます。

四十肩・五十肩は骨の異常ではないため、レントゲンでは確認できません。

そのため、明確なメカニズムはいまだに不明とされています。

しかし、急な炎症が起こるのはライフスタイルの影響を受けている可能性が考えられています。

四十肩・五十肩はぶり返すこともありますので、まずは原因を知り、対策を立てましょう。

四十肩・五十肩は関節痛の一種です。
医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれています。

四十肩・五十肩が起こるメカニズムは、いまだはっきりと解明されていません。
しかし、さまざまな説が唱えられており、次のような内容が要因となっているのではないかと考えられています。

◇加齢による組織の変性

四十肩・五十肩は、その名の通り、中高年の方に症状が出やすいという特徴があります。
これは、肩関節の腱板（肩まわりにあるインナーマッスルの腱）の炎症が関係しています。

歳を重ねるにつれて組織が変化していくことは、身体のあちこちでみられる自然なことです。
腱板の炎症は、加齢の影響で組織の変性が生じ、筋肉や腱の柔軟性が失われてしまうことが原因だと考えられています。

◇不良姿勢

前かがみの姿勢は重心が前に傾くため、首や肩に負担をかけてしまいます。
すると僧帽筋などが硬くなり、肩甲骨の動きが悪くなって炎症が起こりやすくなります。

そのため、長時間スマホをみたり、パソコンを操作したりしていると四十肩・五十肩になりやすいといえます。

◇過去のケガ

若いころに肩をケガしていると、四十肩・五十肩の原因となる場合があります。
外部からの大きな衝撃で発生する骨折や脱臼といった外傷はもちろん、繰り返しの弱い負荷が原因となる野球肩のようなスポーツ障害などが挙げられます。

適切な処置を講じずに放置していた場合、さらにリスクが高まるといわれています。

四十肩・五十肩の主な症状は、次の通りです。

◇肩が激しく痛む

四十肩・五十肩は、激しい痛みが特徴です。
肩は安静にしているときも、頭や腕を支えるために機能しています。

そのため、肩関節を動かしていないときでも痛みがみられます。
また、仰向けに寝転ぶと重力によって肩関節が後ろに引っ張られてしまうため、寝ているときでさえも痛みに襲われます。

◇腕が上がらない

四十肩・五十肩の痛みが強いと、肩関節を動かすことが恐怖に感じられます。
肩を動かさない状態が何日も続くと、関節の柔軟性がさらに低下し、腕が上がりにくくなります。

◇頭痛がする

四十肩・五十肩になると、肩だけでなく首や背中、肩甲骨周辺にも負担がかかり、付近の筋肉が緊張しやすくなります。
そのため、緊張型頭痛の原因となることもあります。

四十肩・五十肩は、次の3つの時期に分類されます。

時間の経過とともに改善していくことが一般的です。

◇急性期

肩のあたりに重苦しさを感じ、関節に電気が走ったような痛みを覚えます。
その後はズキズキとうずくような痛みが続き、特に肩関節を動かすときに痛みが強くなります。

安静にしていても肩に痛みがみられ、夜寝ているときも痛みで目が覚めてしまうことがあります。

◇慢性期

慢性期に入ると、痛みは軽くなります。
しかし、関節の可動域が狭まり、無理に動かそうとすると強く突っ張ったような感じがします。

◇回復期

痛みが落ち着き、関節の可動域も徐々に広がっていきます。
四十肩・五十肩発症以前の生活を取り戻していきます。

四十肩・五十肩は、一度発症してしまうと長引きやすい傾向にあります。

何ヶ月も肩関節の硬直が残ってしまいますと、洗濯物を干したり、髪を結んだりするときにも大変不便です。

そうならないためにも、発症直後のケアが重要です。

間違ったケアは、かえって症状を悪化させる可能性があります。
また、四十肩・五十肩は何度も繰り返してしまう場合もあるため、症状が回復した後も油断できません。

四十肩・五十肩に対処した後は、再発防止に取り組むことも大切です。

四十肩・五十肩の悪化を防ぐためには、ケアが大切です。
次のように対処しましょう。

◇温める

四十肩・五十肩は、温めて対処することが原則です。
患部の血行を良くすることで、身体の持つ回復力を高め、痛みの緩和を促します。

ご自宅では、湯船に浸かって身体を温める方法や、蒸しタオルや温湿布などを使ってピンポイントで肩を温める方法があります。

◇冷やす

どうしても痛みがひどい場合は患部を冷やしましょう。
炎症がひどく、患部が熱を持っているときに有効です。

タオルに包んだアイスパックなどを使って、患部を15分ほど冷やします。
しかし、冷やしすぎますと凍傷を起こす可能性があります。
また、長時間冷やすと筋肉が硬くなり、かえって回復が遅れてしまいかねません。

痛みが落ち着いたら冷やすことはやめ、温めるようにしましょう。

◇ストレッチする

肩関節が硬くならないよう、動かせる範囲でストレッチをおこないましょう。
適度に肩周辺を動かしておくことで、慢性の硬直が起こりにくくなります。
また、全身をストレッチすると血行が良くなるため、痛みの緩和も期待できます。

四十肩・五十肩を防ぐには、次のような予防法をおこないましょう。

◇正しい姿勢を意識する

四十肩・五十肩は、姿勢の悪さも関係しているといわれています。
特に、座って作業することが多い方は、知らず知らずのうちに肩関節に負担をかけているかもしれません。

座って作業するときは、次のようなポイントを意識しましょう。

・背筋を伸ばす
・骨盤を立てる
・足の裏を床につける
・膝は90°に曲げる

モニターをみつめて作業する方は、モニターとの距離は40cm以上取り、モニターの高さを目線と同じくらいに調整しましょう。

◇肩甲骨を意識して動かす

日常生活で肩甲骨を大きく動かす機会は、そう多くありません。
肩甲骨を動かさない状態が続くと肩まわりの筋力が落ち、四十肩・五十肩のリスクを高めます。

時間があるときに、肩を大きく回したり、手を後ろに回して肩甲骨を寄せたりする運動をしましょう。

◇適度な運動をおこなう

加齢による組織の変性を緩やかにするためにも、適度な運動の習慣を持ちましょう。
仕事や家庭のことが忙しく、運動する時間が確保できない方は、1駅分歩く、料理中につま先立ちするなど、日常生活で工夫することが大切です。

「四十肩・五十肩」は関節痛の一種です。
加齢によって肩関節周囲の組織が変化することで柔軟性が失われ、筋肉や腱がスムーズに動かなくなることが原因といわれています。
しかし、実際のところ、原因は明確に分かっていません。

特徴的な症状として、突然腕が上がらなくなったり、激しい痛みや夜に痛みが強くなったりするのがあり、「炎症期」「拘縮期」「回復期」と変化していくことが一般的で、症状によって施術方法が異なります。

「炎症期」は疼痛を強く認める時期で、アイシングで患部を冷やし、痛みで緊張した筋肉をほぐしていきます。
また、鍼を患部に刺すことでも疼痛を緩和していきます。

「拘縮期」では激しい痛みや夜間痛は緩和しますが、肩関節周囲が硬くなり腕を上げたり手を後ろに回したりすることが難しくなります。
また、特定の動きで強い痛みを認めることもあります。
この時期ではマッサージと運動療法を主におこない、固まっている関節を動かして肩関節の可動域を広げていきます。

「回復期」は疼痛もほとんどなくなる時期で、拘縮期同様にマッサージと運動療法が主になってきます。

また、予防として自宅でのリハビリも指導させていただきます。

「四十肩・五十肩」は何もしなくても症状は良くなっていきますが、発症してから治るまで約１年以上かかることが多いです。

施術をすることで治るまでの期間の短縮を図ることも目指せます。
ぜひご相談ください。