鍼灸施術

鍼灸では具体的にはどのようなことをするのでしょうか。

施術中の写真は多くみられますが、実際に鍼灸とはどのようなものを使い、施術をおこなっていくのかわからず、不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。

鍼灸はやみくもに鍼を打ったり、もぐさを乗せたりするようなものではありません。
患者様のお身体の状態を見極めながら、360以上ある全身のツボから適切なツボを選んでアプローチしていきます。

こちらでは、鍼と灸それぞれの詳しい内容についてみてみましょう。

鍼の内容について詳しくご紹介します。

◇鍼の仕組み

鍼は、東洋医学にルーツのある施術です。
東洋医学において、「気」「血」「水」のバランスが保たれている状態を健康と考えています。

鍼は、このうちの気の流れを調節するものです。

気とは、体内に流れるエネルギーのことをいいます。（血は血液、水は体液を指します）
気は、血液のように流れる通り道が決まっており、気の流れに働きかけるツボが全身のあちこちにあると考えられています。

鍼を使った施術では、身体の不調とつながっているツボに鍼を打ち、気の流れを正常な状態に近づけていきます。

◇鍼の内容

当院の鍼を使った施術では、単にツボに鍼を打つだけでなく、打った鍼を電極としてパルス通電をおこなうこともあります。
電気刺激は鍼を伝って深部の筋肉にも届くため、さらに高い効果が期待されます。

◇鍼の種類

鍼といっても、その太さや長さはさまざまです。
施術する部位や患者様の身体の状態、目的に応じて複数の鍼を使い分けます。
一般的な鍼の太さは、髪の毛ほどです。
注射の針よりも細いため、痛みは少ないといわれています。

また、使用している鍼は、すべて使い捨てとなっています。
患者様の身体に入る部分は、素手で触れられないようになっていますので、衛生面が気になる方も安心してお使いいただけます。

◇鍼の特徴

鍼は副作用の心配が少ない施術とされています。
虚弱体質の方や痛みに敏感な方にも安心して施術を受けていただけます。
施術者が患者様の身体の状態に合わせて、鍼を打つ場所や深さを調節いたします。

鍼の施術後に、一時的にだるさを感じることがあります。
この症状は、好転作用の一種といわれています。
身体が良い方向へ向かっているサインですので、ご安心ください。

お灸の内容について詳しくご紹介します。

◇お灸の仕組み

お灸も鍼と同様に、東洋医学が源流となっています。
お灸の歴史は古く、2000年以上前の中国の医学書にもお灸に関する記述があるそうです。
施術に使用する際には、全身のツボに温熱刺激を与えることで、気の流れを整えていきます。

◇お灸の内容

お灸を使った施術は、火をつけたもぐさをツボの上に置くというシンプルなものです。
もぐさは高温になりにくいという性質があるため、患部をじんわりと優しく温めることができます。
施術する部位や患者様のご要望、身体の状態などによって、お灸の温度や大きさなどを調整いたします。

◇お灸の種類

「直接灸」と「間接灸」という方法があります。

直接灸は、肌の上に直接もぐさを置くものです。
もぐさが肌に直接触れているため、ダイレクトに熱を伝えることができます。

直接灸のなかには、わざと膿を出すために皮膚を焼く打膿灸という方法があります。
刺激が強く痛みを伴うとされるため、現在ではめったにおこなわれていません。
「悪い子にはお灸を据える」という言葉がありますが、それは打膿灸を指すといわれています。
整骨院のお灸は、痕が残らないよう工夫しておこないます。

一方、間接灸は、肌の上に台座や紙筒を置き、その上でもぐさを燃やす施術です。
直接灸よりも刺激は弱まりますが、火傷や痕が残る心配が少なく、じわじわと身体を温めることに適しています。

◇お灸の特徴

お灸で使用するもぐさの原材料は、よもぎの葉です。
漢方では、艾葉（がいよう）と呼ばれており、薬として使われてきました。
西洋では「ハーブの女王」の名で親しまれており、さまざまな効果が期待される薬草です。

よもぎの葉を乾燥し、精製して完成したもぐさには、香料にも使用されているチネオールという物質が含まれており、燃やすと爽やかですっきりとした独特の香りがします。

鍼灸は、東洋医学の知見に基づいて気の流れを操作することによって、身体に備わっている自然治癒力を引き出すことを目的としています。

血行の促進や肩こり、痛みの緩和にも効果が期待でき、心身にさまざまな嬉しいメリットをもたらします。

虚弱体質や冷え性といった体質も根本的に改善できる可能性があります。

具体的な鍼・灸の効果について、それぞれ詳しくみてみましょう。

鍼灸には、どのような効果が期待できるのでしょうか。

◇鍼に期待される効果

鍼には、次のような効果が期待されます。

・自然治癒力の向上

鍼は、身体にとって異質なものです。
長時間体内に留まり続けていると、身体が異常を感知し、鍼を排除しようと活性化します。
このようなメカニズムによって身体に本来備わっている自然治癒力を引き出し、免疫力を高めていきます。

・肩こりの緩和

鍼では、直接筋肉を刺激することができます。
鍼でこりを緩めることで、肩こりの緩和が目指せます。
また、さらにパルス通電をおこなうことで筋肉がマッサージされ、柔軟性の回復にもつながります。

・痛みの緩和

鍼の刺激が脳に伝達されると、痛みを抑える物質が生成されます。
この働きによって、腰痛や膝の痛みといった症状の緩和が目指せます。

また、神経は一度に2つ以上の刺激を処理できないといわれています。
腰痛や膝の痛みといった痛みがある状態で鍼を打つと、痛みと鍼刺激の2つの情報が存在します。
体内で生じている痛みより、外部から受けた鍼刺激が優先的に脳に伝わるため、神経の中継地点で腰痛や膝の痛みといった痛みの信号がブロックされ、痛みの緩和につながるといわれています。

・血行を促進

鍼を打つ刺激によって反射の働きが生じ、血管拡張物質が体内に放出されます。
すると、鍼を打った部分周辺の毛細血管が広がり、血行促進につながります。

◇お灸に期待される効果

お灸には、次のような効果が期待されます。

・肩こりの緩和

お灸では、肌表面からじわじわと身体を温めることができます。
肩にお灸を据えることで硬くなった筋肉が柔らかくなり、血行改善効果が期待され、肩こりの緩和も目指せます。

・代謝の向上

腹部をお灸の熱で刺激すると内臓機能が向上し、熱が生成されやすくなります。
そのことによって、代謝の向上や冷え性改善を目指せます。

・自律神経の調整

お灸のじんわりと温かな刺激が伝わると、身体がリラックスして副交感神経に切り替わりやすくなります。

また、お灸は爽やかな香りを放つため、気持ちの安らぎも期待できるでしょう。
交感神経が昂っているときにお灸をおこなうと、副交感神経に働きかけることができるため、自律神経の調整ができると考えられています。

・血行の促進

お灸をおこなうと、肌表面から全身を温めることができます。
温かくなると毛細血管まで血が巡りやすくなり、血液の循環の改善が目指せます。

鍼灸施術は、使い捨ての鍼やお灸を用いて経穴（ツボ）を刺激することにより、五臓の働きや自律神経・経絡の調整をしていきます。

それによって身体が本来持っている自然治癒能力を高め、痛みや不調の改善を目指す施術方法になります。

ぎっくり腰や寝違えといった急性の痛みの症状を緩和に導く「内分泌系（ホルモン）」や、「免疫系」などに作用することで、血流改善や内臓機能の調整も期待できます。

当院では施術するにあたって、最初にカウンセリングや検査をおこない、身体のどこに原因があるかを調べていきます。